海外の家は大きいと有名ですが、実際に日本の家と海外の家の大きさにどれくらいの差があるのでしょうか。
北米・南米・ヨーロッパ・豪州の国々と、平均的な家の大きさを比較してみました!オーストラリアやアメリカの家は日本の家の約2倍の面積があることがわかりました。その一方で、住民一人当たりの平均居住面積は意外な結果がでました。
海外の家がどれくらい広いのか、なぜ日本の住宅は狭いのかを深堀します。
- 海外の家と日本の家の大きさ比較
- 欧米住宅の内装サイズ規格
- 海外と日本の平均居住面積比較
- 日本の家が狭い理由
タップできる目次
海外の住宅の大きさを比較してみる
「日本の住宅はウサギ小屋」と表現することもありますが、海外の住宅は実際にどれくらいの大きさなのでしょうか。
欧米諸国の平均的な家の大きさを紹介しているサイトがありましたので日本の家と大きさ(面積)を比べてみます。
(参考)Point2 Homes
こちらは、庭や駐車場を含まず建物だけの大きさです。やはり日本の家は世界的にみても「かなり小さい」部類のようです。
オーストラリアの地方都市は平屋が多いと聞きますが、さすがとても広いですね!アメリカやカナダの戸建ては2階建てが主流です。
驚くことに、オーストラリアの55%、イギリスの62%、ブラジルの62%、メキシコの66%はもっと広い家が欲しいと思っているそうです。カナダ、アメリカは控えめ(?)で42%、38%がもっと広い家に住みたいと思っています。
日本住宅の広さの例
- 国内平均最小は東京都の住宅:64.5㎡
- 国内平均最大は富山県の住宅:152.2㎡
- 昭和の平屋代表「サザエさん家」:約115㎡
欧米の家は内装も大きい
海外の住宅が大きく感じるのは、延べ床面積だけが理由ではありません。ドアや天井などの規格寸法も日本とは大きく異なります。。
私が現在住んでいる北米(アメリカ・カナダ)の基準と比較しながらご紹介します。
欧米住宅のドアの大きさ
- 日本の玄関ドア…200㎝×70~75㎝
- アメリカ・カナダの玄関ドア…203㎝×76㎝以上
一般的来な日本のドアの高さは200㎝です。昔ながらの日本家屋の室内ドアは180㎝ですが、現在の住宅では190㎝~200㎝になっています。横幅は種類により異なりますが、70~75㎝が人気のようです。
北米のドアの高さは80インチ(約203㎝)、横幅は色々ですが最小サイズは30インチ(約76㎝)。日本人と比べて体格が良い人が多いので、ドアも大きめが人気です。
日本の家はトイレが独立しているのでドアも小さめですが、欧米ではトイレ・バスが一緒になっている場合が多いのでドアのサイズも他の部屋と同じということが多いです。
欧米住宅の天井の高さ
- 日本の住宅…240㎝(日本家屋は210㎝)
- アメリカ・カナダの住宅…274㎝(2階は243㎝)
北米住宅に入ると、その天井の高さに驚きます。メインフロアである1階の天井高は9フィート(約274㎝)、寝室などがある2階や地下室は8フィート(約243㎝)というのが一般的。
アパートメントや古い家の場合、1階で8フィート(約243㎝)という物件もありますが、ややこじんまりした印象になります。
新しい戸建てや、コンドミニアムの場合は天井高10フィート(約304㎝)や、12フィート(約365㎝)の住宅もあります。天井が高いだけで空間が広く、ゴージャスな印象になりますね。
一方、日本では一般的な新築住宅で240㎝、古民家など日本家屋は210㎝と天井が低めとなっています。天井を高くするオプションで280㎝くらいになり、アメリカ・カナダの住宅と同じくらいです。
欧米住宅のお風呂の数
海外のお風呂は、トイレと浴槽が同じ空間にあるのが一般的。浴槽の上にシャワーがついているタイプと、浴槽がなくてシャワールームだけのこともあります。
確かに欧米のバスルームは日本のハイテクお風呂に比べて質素。しかし、アメリカやカナダの戸建てやコンドミニアムではお風呂の数が2つ以上あるのが主流。バスルームが3つ以上の大きなお家も珍しくありません。
ちなみに海外のバスルームは狭いと思いがちですが、実際には上の画像の「5ピースバスルーム」など、バスタブとは別に洗い場が付いているタイプの広いお風呂場も人気です。
一人当たりの平均居住面積
日本の家は海外と比べると確かに小さめです。しかし実際、日本でそこまで大きな家が必要でしょうか…?核家族化&少子化が進む現在の日本で6LDKや7LDKが必要な大家族はそんなに多くはありません。
(参考)日本:国土交通省 海外:Point2 Homes
さすがに広い国土を有する北米やオーストラリアとは比べ物になりませんが、ヨーロッパ諸国相手ではなかなか健闘していることがわかります。
メキシコやブラジルは親と同居する世帯が多いこと・ひと世帯当たりの子供の数が多いことから、家は大きくても一人当たりの居住面積は小さくなっています。
前述した「ブラジルの62%、メキシコの66%がもっと広い家が欲しいと思っている」というのも、この結果を見れば納得。
日本の家が狭い理由
海外の家に比べて日本の家は確かに小さいけれど、その理由を知れば納得です。それでは、ひとつ一つご紹介していきます。
国土が狭く、家が高いから
住む家を決めるとき、やはり一番気になるのは価格。予算内の候補から選びたいのが普通ですね。
広い土地を持つカナダやアメリカと比べて日本は土地が狭い。そのため土地の価格が高い傾向にあります。もちろん、バンクーバー(カナダ)や、ニューヨーク(アメリカ)も東京に負けないほど高いですが、広い分面積当たりの価格は落ちます。土地が広い欧米と比べて日本の住宅が小さいのは当然のことですね。
私の実家(広島)と夫の実家(カナダ・ウィニペグ)は、金額的には私実家の方が高いのですが、夫実家のほうが広さ3倍。義両親が日本に来たことがあるのですが、実家が狭くて見せるのが恥ずかしかった…。
広い中古住宅よりも狭い新築が人気
欧米では中古住宅が人気で、古い家でもリノベーションをして長く使います。都市によって新築件数を制限しているので中古住宅の価格が落ちにくく、転勤などで転売を繰り返しても損をしにくいのも特徴。さらに、リノベーションや増築をしていると新築のときより広くなったり値上がりすることもあります。
日本の場合は湿気や地震、水害が多く、木造住宅の場合は築20年も経てば住宅価格はほぼ0円になってしまいます! そのため中古というと何となくイメージがよろしくない。
新築思考が高い日本人には、広くて古い住宅よりもコンパクトな新築住宅が人気です。
家族でスペースを共有するから
「川の字で寝る」という言葉があるように、日本では子供が小さいうちは一緒の寝室で寝ている家庭が多数派ではないでしょうか。一方、欧米では赤ちゃんの頃から大人とは別の寝室を用意するのが普通。さらに、遠方の親戚や友達が泊まりに来ることも頻繁にあります。そのため、部屋数が多めとなっています。
また、日本では1つのお風呂を家族全員でシェアするのが一般的ですが、アメリカやカナダではお風呂というプライベートなエリアは他人と共有しません。1世帯にバスルームがいくつもあるのに納得です。
「個」を尊重する欧米人に比べて「和」を大切にする日本人には、広すぎないパーソナルスペースが心地よいのかもしれません。
実際に日本人は外国人に比べてパーソナルスペースが狭いという調査結果があります。
「調査によると、日本人の公共距離は外国人の3分の1しかありません。つまり、日本人は無意識に外国人が不快に思うところまで、近づいてしまうということです」 出典:シャイなはずの日本人のパーソナルスペース
家の広さより利便性を重視
日本の家はその広さよりも、職場や学校へのアクセス・コンビニやスーパーマーケットまでの距離・騒音はないか・治安は良いかということが重要視される傾向にあります。
特に忙しい日本人にとって利便性はとても大切。通勤時間もできるだけ短縮したいですよね。車を所有していない人も多い日本では家の広さよりも利便性を優先したいです。
私が現在住んでいるのはカナダの首都オタワで人口もそこそこの都市です。しかし、都心部へ行くのにバス乗り換え必須で1時間弱、最寄りのスーパーへも車必須です。コンビニはありません。バスも時間通りに来ることは稀です。
欧米では車所有が前提。そのため利便性を犠牲にして広い家を求める人はたくさんいます。
小さい家は掃除が楽
綺麗好きな日本人。リビングは毎日掃除機をかけるという人も多いのではないでしょうか。
大きな家に住む欧米人はあまり頻繁に掃除をしません。共働き家庭が多いので、週末に全員で一気に掃除をするという人も多いです。また島国の日本に比べて乾燥しているのでカビも生えにくく、多少放置しても大丈夫。
綺麗好きな日本人にとって、大きい家は掃除する箇所が増えるだけと感じる人も少なくないでしょう。
まとめ:海外と比べると日本の住宅はミニサイズ
カナダで生活を始めてから約8年。海外生活が長くなると、日本に一時帰国するたびに「日本の家は小人の家みたい」と感じてしまいます。広島市の実家だけでなく、超田舎の祖母宅でさえ小さく思えます。農家なので広さこそありますが、建物の構造自体が小人サイズだからです。ドアや天井はもちろん、家具や食器までも超ミニ!
今回の調査で、日本の家は欧米の住宅に比べて小さく、オーストラリアやアメリカの家の約半分の大きさということがわかりました。それにも関わらず、実際のところ「住まいの広さ」に不満を持っている日本人は意外と少ない。それよりも、利便性や騒音など立地条件についての不満をよく聞きます。
省スペースな便利グッズや収納術を活用して賢く生きる日本人にとっては、海外のような大きな家よりも、コンパクトで立地条件の良い綺麗な家が理想の住まいなんだと思います。