国内の事故や事件のニュースで、被害者や加害者の職業や雇用形態が報道されることが気になって仕方ない。海外(カナダ)では職業が報道されることはありません。
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ニュースで職業や肩書を報道する日本
先日、カナダ人の友達と雑談をしていたとき、私が今まで気になって仕方なかったことをズバリ突いてきました。
「日本では被害者や加害者の職業や雇用形態を報道するの?なんで?」
確かにカナダニュース報道では名前は出ていても年齢や職業は公開されません。事件と関連している場合には報道されることもあるようですが、「無職」と表示されているのは見たことありません。ましてや「派遣社員」「社員」などの雇用形態の公開は絶対にありません。
肩書社会でアイデンティティを特定する情報
日本は「職業」でどんな人かが決まる社会
例えば初対面の人に挨拶をするとき、日本では「勤めている会社名」や「業種」を伝えるが多いように思います。それがビジネスでの自己紹介なら当然ですが、プライベートの関係でも最初に名前と社名を伝える人も多い。そして「最近その業界は調子いいみたいだね。」など、その会社についての話題になります。
海外は「職業」よりも「何をしているか」が重要
ちなみにカナダでは社名ではなく、仕事内容を聞かれることの方が多いです。よって答えも「〇〇株式会社の広報部で働いている。」というよりは「〇〇メーカーで公式ブログを書いている。」という感じになります。そして「ブログ取材するの?」など、仕事内容についての話題になります。
無意識にレッテルを張る
日本では社名や職業自体が人物のアイデンティティを表現する情報になっています。
そのため、医師や弁護士と聞けばエリート、公務員や教員だと聞けば真面目な人、無職と聞けばきっとだらしない人だろうと、職業だけで性格まで判断します。その人の事を全く知らないにも関わらず。
個人情報を報道する意味とは
さて、本題。
被害者の職業が事件自体に関係がある場合は報道する意味があります。例えば、バス事故が発生したとき、ケガをした人がドライバーなのか添乗員なのか、それとも乗客なのかというのは必要な情報かもしれません。
しかし乗客の職業は事故とは関係ないにも関わらず「会社員の〇〇さん(28)が死亡」など詳細まで公開されていますよね…。
知り合いへの情報提供
そもそもなぜ被害者の情報を報道するのかを調べたところ、下記のような内容を読みました。
なぜ被害者の個人情報を報道するかというと、その人の家族・親戚などの関係者、近所の人々などの知り合いに情報を提供することが一つの理由。
しかし、親戚や友人なら、テレビで情報を仕入れていないで、直接本人や家族にコンタクトを取りますよね?SNSなどすぐに繋がれるシステムが確立している現在、それができないほど遠くの知り合いは、もはや他人。職業なんて知る必要もありません。
第三者の要望に答える
ニュースを見ると確かに、「被害者はどんな人だろう。」「どういう家庭で育った人だろう。」「どんな生活を送っていただろう。」と色々な疑問が湧いてきます。マスコミもこのような疑問に答えるために職業を情報として報道しているのかも知れません。職業がわかると何となくですが、被害者の生活が“想像”できますし…。
しかし、第三者の好奇心を満たすために被害者のプライバシーを公開することが正しいのか疑問。
被害者は二度死ぬ
例えば通り魔事件で若い女性が被害にあった場合、被害者が「社員」か「契約社員」か「フリーター」か「無職」か、ここまで細かく報道する意味がわかりません。
なぜテレビの前の見ず知らずの人に自分の職業(雇用形態も)を公開されなければならないのか。
「30過ぎで派遣社員w」「無職ってひきこもり?」など、死んでしまった後も尚、ある事ない事ささやかれるのです。
警察が公開するから報道する
マスコミは警察が公開したことを報道します。被害者の職業や雇用形態も警察が公開するからマスコミは報道します。
こんな不要な情報を公開する警察にも「?」だし、その情報が国民にとって本当に必要かどうかを判断せずに警察が公開したことを何でも報道するマスコミにも「?」。「ニュースってそういうもの。」「今までもそうだし。」と既存のものを全く疑わず受け入れる日本人にも「?」。