カナダは英語とフランス語の両方が公用語として有名ですが、実際にフランス語を話す人がどの地域にどれくらいいるか知っていますか?
英語を公用語とするか、フランス語を公用語とするかは州によって大きく異なります。中には人口の99%以上が英語を話す人で構成されている地域も。
英語話者、フランス語話者、そして英仏バイリンガルの数とその地域を調べましたのでご紹介します。
- カナダの公用語
- 英語を使う人の割合(%)
- フランス語を使う人の割合(%)
- 英語とフランス語が使われる州・地域
- 英仏境目の街の様子
タップできる目次
カナダは英語とフランス語が公用語
1931年に国として独立するまで、カナダはフランスとイギリスの植民地でした。そのためカナダ人といってもフランス系とイギリス系に大きく分類されます。
異なる言語を持つ2か国に支配されていたカナダは、両者の争いを避け折り合いをつけるため、フランス語と英語の両方を公用語としています。そのためカナダにはフランコフォンがたくさん住んでいます。
フランコフォンとは?
交通機関や道路標識が英仏表記
公用語が2か国ということは、公共交通機関の案内や道路の標識もフランス語と英語の2か国語表記ということ。
飛行機の案内はもちろん、バスや電車の電光掲示板や車内アナウンスも、英仏2ヵ国語に設定されています。
お店の商品が英仏標記
カナダで販売されている商品のパッケージは英語とフランス語で表記されています。
例えば、画像のお菓子はパッケージの裏表にそれぞれ英語・フランス語でデザインされています。栄養素などの表示も二か国語並行して表記されています。
一つの製品に二つの言語が書いてあるので見た目がごちゃごちゃしています。
子供用のおもちゃが英語とフランス語両方しゃべる
カナダで購入できるおもちゃの多くは英仏バイリンガル対応となっています。
しゃべるぬいぐるみや歌が流れるおもちゃは、英語版・フランス語版が別々に用意されている製品と、後ろに言語切り替えスイッチがついている製品があります。
切り替えはなく、英語を話した後にフランス語を続けて話すタイプのおもちゃもあります。
英語話者とフランス語話者の割合
参考:Office of the Commissioner of Official Languages
移民を除くカナダ人のほとんどが、英語かフランス語どちらかだけを話すモノリンガルです。
上図は、カナダ全体の英仏話者の割合を表すグラフ。母語かどうかは関係なく、英語・フランス語を理解できるかどうかを基準としています。
参考:Office of the Commissioner of Official Languages
母語と限定すると、英仏バイリンガルの数が激減しその割合はわずか0.5%。全体では、アングロフォンが56%で、フランコフォンが20.6%です。
カナダ人の過半数は英語が第一言語ということが分かります。
カナダの公用語(英語・フランス語)以外を母語とする「その他」が20.5%います!これはフランス語人口とほぼ同数。主に、中国語、ヒンディー語、アラビア語などがあり、日本語もこちらに含まれます。さすが移民国家のカナダ。
母国語としてのマルチリンガルは、どの言語の組み合わせでも極めて少数のようです。
カナダでフランス語が使われる地域
それでは、具体的にどの地域でどちらの言語が使われているかを見ていきましょう。
上図は州ごとのフランコフォン・アングロフォンの割合です。ケベック州を除くすべての州で主に英語が使われています。
カナダで英語が公用語の地域
- アルバータ
- オンタリオ
- マニトバ
- ブリティッシュコロンビア
- ニューファンドランド&ラブラドール
- ノバスコシア
- プリンスエドワード島
- サスカチュワン
カナダはフランス語と英語の両方が公用語ですが、州単位で見ると、「英語のみを公用語」としている州が多い。英語メインでフランス語サービス有と制定している州もありますが、実質的にほとんど英語しか使われていません。
フランコフォンの人口を見てもケベック州(地図Dの州)を中心に、離れれば離れるほど減っていきます。
以前私が住んでいたブリティッシュコロンビア州は西の端っこ(地図Cの州)で、ほとんどのカナダ人が英語しか話しません。極まれにフランス語を話す人もいましたが、ケベック州などフランス語圏から仕事や家族の都合で引っ越してきた人でした。
カナダでフランス語が公用語の地域
- ケベック
カナダでフランス語圏と言えばケベック州。カナダ第2位の都市モントリオールもケベック州です。
カナダ全人口のうちフランコフォンはたったの22%ですが、ケベック州で見てみると、なんと85%もいます。実はケベック州はカナダで唯一「フランス語のみを公用語」としている州。街で見かける言語もフランス語が優先されています。
大都市であるモントリオールは移民や旅行者が多いので英語もかなり使われており、バイリンガルが多い印象です。
カナダで英語・フランス語両方が公用語の地域フランス語を話す人口分布
- ニューブランズウィック
ケベック州のお隣のニューブランズウィック州はとても小さな州。フランス語を母国語とする民族が3割を占め、カナダで唯一「フランス語と英語の両方を公用語」としている州です。
公式バイリンガル州なだけあり、アングロフォン(67.9%)とフランコフォン(31.8%)とカナダの州の中でも一番バランスがとれています。
オンタリオ州の一部もフランス語を使う
カナダ人でも知らないことが多いのが、オンタリオ州でもフランス語を話す地域があるということ。ケベック州の境目の街だけではなく、フランス語と英語のバイリンガル地域もオンタリオ中間部に多く点在しています。
フレンチカナディアン=ケベック州出身と思われがちですが、オンタリオ州出身のフレンチカナディアンもたくさんいます。
英語圏とフランス語圏の境目の街
英仏境目の街といえば、カナダの首都であるオタワが代表的。
オタワはオンタリオ州ですが、運河を挟んだ反対側のガティノーはケベック州です。州の違う二つの町が一緒に都市圏を作っているカナダでは珍しい地域。
首都オタワで政府機関も多いため英語・フランス語両方が使われています。すれ違いざまにフランス語が聞こえるのも決して珍しいことではありません。
人口の37%が英仏バイリンガル
バイリンガルと聞くと、政府の役人や通訳をイメージしますが、オタワは職種に関係なくバイリンガルだらけ。なんとオタワ人口の37%はフランス語と英語両方を話すことができます。
特に役場や病院の人に勤めている人の多くはバイリンガル。Hello!Bonjour!英仏両方で声をかけられ、どちらの言語でサービスを受けるか確認されます。
フランス語を話せないと仕事探しが不利になる?
英語ONLYの人は多いのですが、フランス語ONLYの人はそこまで多くありません。
オタワでは英語を第一言語にしている人の割合のほうが圧倒的に高いので、仕事は英語ができないと難しいと思います。ただし川を挟んだ反対側「ガティノー」はフランス語圏なのでフランス語ができれば仕事は見つかるでしょう。
一方、フランス語はできるとアドバンテージになりますが、フランス語バイリンガル・フランコフォンは少なくないので供給も十分にあるようです。
オタワのような英語・フランス語の境界線で働こうと思っている人は、フランス語を話すことよりも英語をきちんと話せることのほうが大切だと思います。
カナダのフランス語地域&割合まとめ
カナダのフランス語について、ざっくりまとめました。
- 英語だけ話す人:68.3%
- フランス語だけ話す人:11.9%
- 英仏バイリンガル:17.9%
- フランス語が公用語の州:ケベック州
- 公式バイリンガル州:ニューブランズウィック州
- ケベック州を中心に離れるほどフランス語人口が減る
2ヵ国語が公用語のカナダですが、フランス語を話す人が住んでいる地域は限られています。バンクーバーなど西海岸側に行くと、フランコフォンの割合は2%以下。
英語と同時にフランス語の習得を考えている人は、ケベック州かその周辺地域に行くのがおすすめです!