
医療費が無料のカナダでは、出産費用が無料。さらに、妊婦検診や乳児検診他、産後の必要なサポートも全て保険で賄われます。
カナダでの妊娠・出産は費用以外に異なる部分がたくさんあります。私は、妊娠初期からカナダの病院でお世話になっていますが、日本と違うことが多すぎて驚きの日々。
今回は、体験談をもとに、カナダと日本で異なる海外出産・医療事情をご紹介します。
タップできる目次
カナダ移民は健康保険で検診・出産費用無料
日本では出産関わる検診や入院は健康保険の対象外ですが、カナダでは州の健康保険に加入していれば検診も出産もその後の通院も全て無料です(薬代除く)。
fa-cny日本で出産する場合の負担額
- 妊婦検診:4~7万円
- 出産・入院:約9万円
- 帝王切開の場合:追加で約10万円
- 無痛分娩の場合:追加で約10~20万円
fa-cnyカナダで出産する場合の負担額
- 妊婦検診:無料
- 出産・入院:無料
- 帝王切開の場合:無料
- 無痛分娩の場合:無料
エコーや血液検査はもちろん、入院費も無料。なんと無痛分娩や出生前診断(種類による)も無料です!
ただし、薬代は保険適用外になります。たとえば、つわり用の薬が欲しい場合は100%負担の有料になりますのでご注意ください。
カナダで出産までの流れ
カナダでの出産は日本とは少し異なる部分があります。
ますは、妊娠が判明してから出産までの流れをご紹介します。尚、カナダ国内でも州によっては、エコーの回数などが若干異なる場合があるようです。こちらでは、オンタリオ州での出産の流れをご説明します。
- 市販の妊娠検査薬で陽性
- ファミリークリニックで妊娠確定
- 産科を紹介してもらう
- 出産方法を選ぶ
- 妊婦検診(月に1度)
- 血液検査(2~3回)
- エコー検査(1回~2回)
- 入院予約
- 出産
まずはかかり付け医へ相談
総合病院や、産科専門医に会いたくてもいきなりは予約がとれません。まずは、ファミリードクターと呼ばれる主治医に会い、専門機関への紹介してもらう必要があります。場合によっては、出産のときまでファミリードクターに見てもらうことになるかもしれません。
ファミリードクターがいない場合は、ウォークインクリニック(外来専門医院)へ行きます。そこで、妊娠したことを告げ、尿検査で陽性がでたら専門機関を紹介してもらえます。
カナダではファミリードクター(かかりつけ医)を持っていない患者が医者にかかりたいときは、まずはウォークインクリニックへ行きます。ウォークインクリニックでは予約ができないので、1時間以上待たされることも。
私の場合は、大学内のウォークインクリニックへ行きました。このクリニックには産科医が常駐しているので、紹介~出産までスムーズにできると思い選びました。
ミッドワイフ or ドクター、自宅出産 or 病院出産を選ぶ
日本では病院での出産が一般的ですが、カナダではミッドワイフと呼ばれる助産師に手伝ってもらう自宅出産も人気です。
カナダでは州の医療保険に加入していれば病院での出産も無料ですが、移民申請中などで医療保険に加入していない人は100%を負担する必要があります。一方、ミッドワイフはカナダ政府が補助をしているため誰でも無料でサービスを受けることができます。
金銭的な利点以外に、出産後すぐに退院しないといけない病院と異なりミッドワイフは産後も自宅まで様子を見に来てくれます。きめ細かいサービスが期待でき、満足度が高いと人気です。
私は1人目の出産時はドクターによる病院出産を希望しました。医療施設が整ったところの方が安心と思ったからです。
カナダでは出産する病院と通院する病院が異なる
日本では、妊娠が発覚すると出産したい病院を選んでそこで初診~出産、産後のケアまで行いますが、カナダでは違います。カナダでは、出産対応が可能なのは総合病院か大学病院しかなく、個人クリニックでは対応していません。
そのため、妊娠発覚後に行く病院では出産までの診察をし、いざ産むときは大きな病院で入院することになります。予約は事前に取っておくものの、陣痛が来てから初めて出産場所に向かうのは不安ですね…。
例えば、カナダの首都オタワには出産対応可能な病院が1つしかないため、自宅出産以外を希望する場合は、出産時だけ総合病院へ行きます。
さらに、出産もお手伝いは、その日病院にいるドクターが対応します。そのため妊婦検診でお世話になる担当医とは違う先生に赤ちゃんを取り上げてもらう可能性があります。
ドクターが出てこない!妊娠定期検診の内容
妊娠初期から特に問題が無い人は4週間に1回の定期検診となります。
まずは看護師が体重・血圧を測り、いつもの質問と一緒に問診表に記録します。内診はありませんが、心音はお腹に当てるタイプの機械で看護師が見てくれます。生存確認だけはできて安心。
その後、「ドクターに会って聞きたいことはある?」と言われ、ここで「特にないです」と言えば検診は終了…。
看護師がしっかり質問に答えてくれるし、出血や腹痛などの異常も見られなかったので毎回「特にないです」と答えていたら、結局ドクターには初診で自己紹介したっきり、妊娠後期まで会わないままになってしまいました。
妊婦検診では内診・エコー無し
カナダの妊婦検診は時間がとても短くシンプル。
妊娠8週目にようやく産婦人科の専門医と会えたのですが、なんとおしゃべりするだけで終了しました。ベッドに横たわることも、体に触れられることもありませんでした。
そして、カナダの妊婦検診で驚かされることの一つが、内診がないこと。
日本では妊娠初期から出産まで毎月必ず内診を行いますが、カナダでは特別なことが無い限り行いません。私の場合、1回目の内診はなんと臨月に入ってからでした!
血液検査・尿検査は別の場所でする
専門の医療機関で妊婦検診をする場合も、血液検査や尿検査は別の場所で行うことが良くあります。
私が検診で通っていたのはオタワ大学のクリニックでしたが、採血をはじめとする各種検査は別室で専門家によって行われました。 幸い隣のドアでしたが、受付を2回もするのはめんどくさいですね。
エコー(Ultrasound)は別の医療機関でうける
日本では検診の度にエコー(Ultrasound)をするのが一般的で、妊娠期間を通して10回以上あります。一方、カナダでは全体を通して1回~3回が普通です。カナダのクリニックには、エコーの機械がありま
せん。そのため、妊婦検診で通う場所とは別の大きな病院か医療機関へ出向く必要があります。
1回目のエコーは12週頃。初めて存在を実感
初めてのエコーは12週目で行います。
エコーの専門員が計測し、そのデータを担当医に送り後日確認します。12週は、つわりがあっても胎動は感じないため、この時点までお腹に赤ちゃんがいる実感がゼロという人も多いのではないでしょうか。
ちなみに私が行った病院の場合、写真プリントは1枚2ドルでした...。必要なもの以外はしっかり有料なのがカナダ方式です!
2回目は20週頃。性別がわかる
2回目は、20週目。1回目同様、診察というより検査・計測です。体や器官を様々な角度から撮影して記録していきます。所要時間はなんと約1時間以上かかる場合も!
18~20週目になると赤ちゃんの性別が判明する人が多いそうです。もし判明しない場合は生まれてからのお楽しみにするか、自費でもう一回受けることができるそうです。しかし、エコーは1回300ドル(約25,000円)もかかるので、自費でする人はあまりいないようです。
とりあえず特に問題が無ければ、これ以降出産までエコーはありません。
エコー1回に1時間以上かけることも
エコーは1回あたり1時間と長いのですが、日本のように「ここが手だね~。あ、今あくびしたね~。」と赤ちゃんの様子を教えてくれることはなく、ひたすら数値の記録です。エコーをするのは担当医ではないので、気になることを聞いても「担当医に聞いてください」と言われてしまいます…。
モニターを見ても何が何だかよくわからないし暇だったので、お腹出したまま寝てしまいました。
体調に異常がなければ大丈夫という考え方
カナダの妊婦検診は日本と比べてとても簡易的。無料なので必要最低限のことしかしてくれません。
妊娠初期は流産の可能性が高いし不安になるので、何度も検診に行きたいかもしれません。しかし、カナダでは「妊娠初期の流産はほとんどが染色体異常。来てもできることは無い。」と言い切ります。
子宮外妊娠についても、事前に検査はありません。ドクターに理由を聞いてみると、子宮外妊娠の確率は全妊娠の1%程度と極めて低いため、症状が出てから緊急対応をするそうです。「妊婦全員に事前検査はコストがかかりすぎる」ということでしょう。
流産や子宮外妊娠に関わらず、出血や激しい痛みなど明らかに異常がある場合はちゃんと見てくれますが、医療観点で必要ないことは行わないという点で一貫しています。
日本との妊婦事情の違いに驚く妊娠生活
最初こそ、カナダの妊婦検診のテキトーさに不安でしたが、後半はむしろ楽でいいかもと思えるようになりました。
日本と比べてしまうと正直不満ばかりでストレスが溜まります。いつでもお気楽なカナダ人のように、深く考えずに受け入れて行くのが良いと思います。