
“You are grounded”は、カナダやアメリカの家庭で頻繁に聞くフレーズで子どもが悪さをしたときに使う言葉です。日本と海外の罰の与え方の違いについて考えます。
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海外では“You are grounded”
家庭でよく使う英語フレーズの一つに“You are grounded”というものがあります。日本語では「あなたは外出禁止!部屋にいなさい。」という意味で、子どもが悪さをしたときに親が言う言葉です。
Groundの意味を調べてみました。
ground
【自動】座礁する
【他動】~を地面に置く、~の基礎を教えこむ、~を接地する
この他に、アメリカ英語のイディオムで「外出禁止・自宅謹慎」という意味もあり、頻繁に使われます。
カナダで夫両親+義姉夫婦+甥3人と暮らしていたとき、1日1回は必ず聞いていました。カナダでは「外に出さない」ということはメジャーな罰だそうです。
日本では「いうこと聞けないなら、出ていけ!」が主流
子どもの頃、貴方はどんな罰を受けていましたか?
私は「言うこと聞けないなら外に出ていなさい!」と父によく言われていたことを覚えています。近年は外も物騒なので、外に放置するしつけ方は少なくなっているかもしれませんが、私が子供の頃はどこの家庭でも「外にだすぞ!」が一般的でした。
なぜ正反対になるのか
「家から出てはいけない」と「家に入ってはいけない」、なぜ海外と日本でこうも違うのでしょうか。子育て経験のあるカナダ人数名に聞いてみると、理由が見えてきました。
海外では「自由を奪う事」が罰になる
日本では「外に出すこと」が多いとカナダ人の親たちに話すと、みんな口をそろえて「それでは罰にならない。子供たちは喜んで遊びに行ってしまう。」と答えるのです。
カナダやアメリカは個人の権利と自由を尊重することを主張する個人主義の国。その背景から自分の行動を制限され、自由を奪われることが罰として最も有効だそうです。
ちなみに小さな子供の場合は「1時間、自分の部屋から出てはいけない」、中学生くらいになると「1週間、寄り道禁止。」など程度は様々です。
日本では「コミュニティーから排除すること」が罰になる
農耕民族で集団生活を基本としてきた日本では、人とのつながり「和」を大切にする傾向があります。そのため、家族(家)というコミュニティーから排除することが最も効果的な罰だと考えられているのです。
今の50~60代の世代が子供の頃は「蔵に閉じ込める」ことが一般的でした。これは一見、自由を奪われる「外出禁止」のように思いますが、家族から離れて暗い離れた場所に一人置かれるという意味で「コミュニティーからの排除」の要素が強いと感じます。
日本流「出ていけ!」のしつけ方はリスクが大きい
子どもの頃は、悪いことをするたびに家を追い出されていた私。最初のうちは「いれてええええええええ!ごめんなさいいいいいい!」と涙と鼻水を流しながら玄関の扉にしがみつき懇願していましたが、何度目かになるとすっかり平気に。外に出されるとさっさと近所の古本屋やコンビニに行き自由に過ごしておりました。
北海道の山中男児置き去り事件
以前、言うことを聞かない罰として山中に置き去りにされた男の子がそのまま行方不明になった事件がありましたね。親としては「たった5分、コミュニティーから追い出す」しつけのつもりだったのだと思います。
しかし自衛隊が出動するほどの大騒ぎに発展してしまいました。男の子が無事見つかったから良かったものの、一歩間違えたら大変なことになっていました。
外が安全ではない現在、安易に「出ていけ」というのはリスクが大きすぎます。
子どもにとって自宅は無条件にいていい場所
自宅は「どんな時でも安心して居られる場所」でないといけません。家から出されることは居場所がなくなるということ。それが続くと精神的に大ダメージです!
「私はいなくてもいい子なんだ…」と卑屈になるか、私のように「だったら出ていけばいいや」とひねくれた性格になることも。
海外のように外出禁止が日本で有効な罰になるかはわかりませんが、日本のお父さんお母さんは「出ていけ!」以外の罰を考えてほしいですね…。